mimaraka's blog

解説等

Big Brother(sm36571876)の編集後記・解説記事

 

こんにちは。みまらかと申します。いろいろあってこのような記事を書かせていただくこととなりました。執筆がかなり遅れてしまった(約7か月)ことをお詫び申し上げます。

前置きがやたら長いので技術のみ持って帰りたい方は2.使用ソフト(映像)以降を参照してください。

なお画像・gif多めなので通信量には十分ご注意ください。

 

1.本動画について

この音MADを作るに至った経緯

そもそも僕がこの曲の音MADの存在を知ったきっかけですが、恐らく皆さんもご存知の、NewYear's Dreams 2019(NYD2019)です。

全体的にクオリティが異常に高い合作ですが、僕はやはり大内乙打さん・Happy Machineryさん作のBig Brotherパートが特に印象に残っています。この動画からBig Brother(曲)を知ったという方も少なくないのではないでしょうか。僕はそうでした

画面のレトロな質感や、モーフ変形シーンの気持ち悪さ(褒め言葉)、文字の動きや「Big Brother is watching you」「WAR IS PEACE~」などの1984内のキーワードが1984の世界観を120%引き出していると感じました(知らんけど)

 

そのBig Brotherの影響か、NYD公開後の2020年始くらいからBig Brother MADが結構な数投稿されるようになり、Twitterでも(界隈内では)そこそこ話題になっていました。

何としてもこの波に乗りたいと考えた僕はここでBig BrotherMADを作ることを決めます。

 

しかし、初めはフルで作ってニコニコに上げる気など全くなく、Twitterに一番の部分のみを投稿して少しバズればいいな~程度のモチベーションでした。

とは言え、一番のみでも音作り、人力、リップシンク、キャラ配置など作業量が結構多く、人力に取り掛かる手前でついに耐えきれずにTwitterに進捗を上げてしまいます。

この時点でだいぶ疲れ切っていたので、進捗の反応次第では制作を諦めることも考えていました。

完成もしていなかったので反応にはそこまで期待せず、20いいねくらい行っててほしいな~と思いながらツイートを覗きます。

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「に、220!?!?!?!?!?」

当時はTwitterのフォロワーも十数人程度でツイートも1いいねもらえるかもらえないかが普通だったので、初めは状況が全く理解できませんでした。それはそう

 

また、「完成楽しみにしてます!」等の期待のコメントもいただいてしまい、いよいよ後戻りができなくなってしまいました。 こうしてFullバージョンの制作がスタートします。

当時はしばらく個人作を投稿していなかったのでちょうどいい機会でした。

 

構成

本動画は以下の8つのパートで構成されています。各パートの詳細は後述。

  1. にすペクト*1パート
  2. NYD2019リスペクトパート
  3. 路上を走るシーン
  4. キネポ*2シーン
  5. 灰色マテリアル氏リスペクトパート
  6. さしゃまる氏リスペクトパート
  7. Big Brother 田ミ.exeリスペクトパート
  8. にすペクトパート(2回目)

この動画、実はオリジナルで構成を考えたのは3と4の2パートのみで、他は全て他作者様のリスペクト作品です。本当にありがとうございます。

構成を考える手間が省ける上に、リスペクト要素がある作品は評価されやすかったりで、非常にコスパが良い方法でしたので乱用させていただきました。

《作品への思い、コンセプトなど》

AviUtl、Blenderなどいろいろなソフトを使って作りましたが、これといってコンセプトや思いもないので今考えるとやはり見た目だけのクソ作品です。(元々"技術自慢"をしたかっただけなので僕はそれで満足なのですが)

普通なら元ネタである1984の世界観に沿って作るべきだと思いますが、残念ながら僕は1984未修ですのでそれもできませんでした。流石に制作前に読んでおきたいなとは思ったけど時間が無かった

 

正直映像だけであの小説を表現するのはかなり難しいと思う

某音MAD作者のツイートより抜粋

因みに、1984を読んだ某音MAD作者によると、そもそもこの小説を表現すること自体至難の業だそうです。

本編を読んだら、いつか自分が持っている表現力を駆使して、1984の世界観を最大限まで引き出した、技術自慢ではない真の"Big Brother"を作ってみたいなあと思っていたりいなかったり。

 

使用した素材

動画を見ていただけたら分かると思いますが、ほぼアニメキャラしか登場しません。それも日常系の。

最初はアニメ以外の素材も使った“私的オールスター”なBig Brotherを考えていたのですが、ありきたり過ぎて他の作品に埋もれてしまうのではないかという心配をしていました。

そこで、「日常系アニメ」、「最近(2017~2020年くらい)放送されたもの」、「女の子」という縛りを設けることによって素材を大幅に絞りました。(所謂テーマオールスター?)

また、既存のBig BrotherMADと素材が被ることもなるべく避けたかったので、結果的にあまり有名でないキャラばかりが集まってしまいました。

 

なぜ日常系アニメキャラ縛りにしたかですが、一つは単純に日常系アニメが好きだったから。もう一つはぞね界隈ウケを狙っていたからです。

というのも、当時の僕のTwitterはフォロワーのほとんどがぞね作者で(理由は話すと長くなる)、TLのツイートも、いいねしてくださる方も大体この方々でした。

前述した通り、当初はTwitterでいいねされることだけがBig Brotherを作る目的だったので、ツイートや投稿作品を眺めながら、ぞね作者様方が好きそうなアニメ素材を徹底的に研究しました。

 

その結果、大体2017~に放送された覇権を握るほどではないけど無名すぎるわけでもない日常系のアニメを好む人が多いという結論に至ったのです。(ド偏見)(適当)(失礼)

例示すると、「恋する小惑星」、「まちカドまぞく」、「私に天使が舞い降りた!」、「スロウスタート」等で、例外はありますがほとんどがきらら系列のアニメです。

そのため初めはきらら作品に登場するキャラのみを集めて「Big Kirarother」なんてタイトルにしようとも考えていたのですが、冒頭にどうしてもレックウザ(非きらら)を入れたかったので断念。

 

一応本動画で使用したキャラ(音声)を全て掲載。

 

Q . なぜシャミ子を歌わせたのか

センターで歌わせるキャラは、画面の大部分を占める上に、サムネイルでも最も目に留まりやすい、いわゆる動画の「」のような存在であるため、できるだけポピュラーで、あまり地味でないキャラを歌わせたいと考えました。

 

僕が知っている、そこそこ有名かつぞね作者に人気な、今までのBig Brother MADと被らない日常系アニメって何だろう……  まちカドまぞくかな~…

 

 

と、あまり深く考えずに決めてしまいました。

 

その他

動画 : 1920×1080 , 30fps

制作期間 : 1ヶ月半程度(構想含めると2ヶ月程度)

制作環境 : ノートPC (CPU: Intel Core i7-8565U, RAM: 8GB, GPU: Intel UHD Graphics 620(内蔵), VRAM: 128MB) +サブモニター(24inch)

制作費用 : 0円(PC、サブモニター代除く)

 

2.使用ソフト(映像)

AviUtl
大体の映像はこのソフトで作成しています。

フリーで利用できるものの、高解像度の映像の編集にはあまり向いておらず、1080pでの編集にはなかなか苦労しました。

 使用プラグインスクリプト

 

Blender
一部3D映像の作成で使用。

バージョン2.8から、UIが一新され、高速でレンダリングが行えるレンダラー「Eevee」が登場したことによって、敷居が下がり、音MAD作者にも十分使いやすいソフトとなりました。

個人的には、慣れればAviUtlのカメラ制御よりかは断然楽ですし、かなり快適に動作します。

 

手軽に透明png
選択した色とその近似色を透過できるツール
素材を切り抜く際に重宝します。

 

MediBang Paint Pro

本来はお絵かきツールですが、僕はちょっとした画像編集にも使っています。GIMPが使えないだけなんですが
今回は主にシャミ子のパーツの描き足しに使用しました。

 

3.シーン別の解説

1 | 0:00~0:44(にすペクトパート)

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PFを削除してしまいタイムラインのスクショ等を載せることができないため、とりあえず覚えている限りのことを書かせていただきます。 

キャラの配置はもちろんBig Brother☆と同じですが、色調やアニメーションなど細かい部分にちょっとしたこだわりがあります。

 

【色調】

フレームバッファに「ブリーチバイパス」(ティム氏)をかける。(強度を半分、彩度を95程度に調整)

・画面全体に青紫っぽい背景を合成。(合成モード:オーバーレイ、透明度を調整してうるさくなりすぎないように)

・その上に「MGグラデーションマップ」(同梱されているテンプレートのWinter Skyを使用)をかけたフレームバッファを透明度30~50%で乗せる。(スクリーンもしくはオーバーレイ)

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あまり上手く再現できませんでした

色調ガチ勢の方々にキレられそうなくらい適当です。申し訳ありません。

 

関連記事 : (こちらの方が数百倍はためになりそう)

 

パペットアニメーション

 中央で髪の毛ゆらゆらさせながら歌っているシャミ子についての解説です。

 映像の中では2、3番目くらいに時間をかけたところだと思います。

 制作の大まかな流れは下図の通りです。

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キャラをパーツごとに分ける

髪の毛などで隠れている部分を描き足す

髪の毛の揺れ・リップシンク・瞬き

グループ制御で呼吸の動きをつける
 

 

という感じ。「歌いながら息を吸う動作してるのおかしいだろ」などというツッコミはお控えください

 

以下、項目ごとに具体的な解説を行っていきます。

 

《髪の毛の揺れ》

・事前に、髪の毛の向きごとに画像をパーツ分けしておく。

・髪の毛のレイヤーに、「風揺れT(ティム氏)」をかける。設定値は以下の通り。

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  • 揺れ角」・・・物体の揺れる強さ。
  • 揺れ周期」・・・揺れる速さ。値が大きいほど遅い。
  • 揺れズレ」・・・物体のやわらかさ(曲がりやすさ)。
  • センター」・・・揺れの基準となる位置。

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  • 分割」・・・曲がるときの物体の滑らかさ(解像度)。値が大きいほどきれいに描画されるが重くなる。
  • 上・下固定長%」・・・上端・下端から物体全体の何%までを曲げないようにするか。
  • 下を基準」・・・下端から物体を揺らすことができる。
  • ランダム揺れ量」・・・揺れ幅をランダムにする。髪の毛の揺れをより自然に見せることができる。
  • ランダム揺れパターン」・・・ランダム揺れ量の乱数シード。
  • 時間ずれ」・・・揺れの開始時間のずれ、髪の毛のパーツごとに異なる値にした方が自然。
  • 横に繰り返す」・・・オブジェクトを横方向に複製できる。今回は使わない。

・風揺れTは垂直に垂れた物体以外には使えないため、横向きになびいている髪は切り抜きを回転させて縦向きにしてから適用する。

 

Q.描き足しってペンタブとか持ってないと出来ないんじゃないの?

A.出来ます。

描き足し程度なら、「手ブレ補正」機能を使えばマウスでも十分可能です。

ペンタブを使った方が当然上手く描けるのですが、そもそも大して目立たない部分ですので下手でもそこまで気になりません。

 

参考記事 :

 

リップシンク

・母音が「あ」~「お」のものと、「ん」6種類の状態の口を用意する。

・歌詞の母音に合わせて適切な口を配置する。

《追記(21/2/22)》
歌詞の母音に合わせると書きましたが正確には実際に発音した時の「音」の母音に合わせます。(例えば「路上」は「ろじょう(オ,オ,ウ)」ではなく「ろじょお(オ,オ,オ)」となる)

・前後の形に合わせて口をそれぞれ「拡大率」を用いて滑らかに変化させる。イージング番号は2223(滑らかな補間と、はっきりとした口の動きの両方を実現しようとするとこの番号が最適解)。

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こんな動き

・日本語の「バ行」、「パ行」と「マ行」は一度口を閉じないと発音することができず、「ワ行」は口を「ウ」の形にしないとはっきりとした発音にならないこのため、ただ前後の形に合わせて口を変形するだけではまだ不自然。
⇒「バ・パ・マ行」の先頭のみ、XY拡大率を"0→100"に設定し、「ワ行」の先頭のみ、XY拡大率を"50→100"に設定する。

※注※完成させるのに2週間かかりました。このやり方はハッキリ言ってクソ面倒なので真似するべきではないです。

《以下、簡易的なリップシンクをご紹介。》

 ・6種類の口を用意するまでは同じ

・それぞれのオブジェクトに「基本効果」⇒「拡大率」を適用。値を下記のように設定する。イージングはすべて23

  • 」の口 : X拡大率"50→100"  Y拡大率"50→100"
  • 」の口 : X拡大率"50→100"  Y拡大率"80→100"
  • 」の口 : X拡大率"50→100"  Y拡大率"50→100"
  • 」の口 : X拡大率"50→100"  Y拡大率"80→100"
  • 」の口 : X拡大率"80→100"  Y拡大率"50→100"
  • 」の口 : X拡大率"50→100"  Y拡大率"移動なし"

 ・歌詞の母音に合わせてこれらを配置するだけ。

↑前者に比べて約90%の時短ができる方法です。時間を有意義に使いましょう。

 

《瞬き》

・「開いている目」と「閉じている目」の2つの目を用意する。

・開いている目を「まぶた」と「眼球」の2パーツに分ける。

・目を閉じるとき、眼球の上部分がはみ出ないように「斜めクリッピング」等を使って上手いことクリッピングする。(重ねてかけるのがポイント)

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言葉で説明するよりも実際にPFを見てみた方が分かりやすいと思うので、以前Twitterに上げたサンプルを配布いたします。

PFをダウンロード

 
《呼吸(?)の動き》

呼吸かどうかはともかく、生き物なんで何かしらの動きがあった方が自然です。

ちょっとした伸縮運動をつけてあげるだけでキャラに魂が宿りますこれガチ

・先ほど作成したすべてのオブジェクトをグループ制御下に置く。

・グループ制御は中心座標をトラックバーから指定できないようなので、スクリプト制御で
obj.cy=画面の縦サイズ÷2と入力し、トラックバーのY座標を"画面の縦サイズ÷2"に変更して中心座標を移動させる。

・基本効果の「拡大率」をかけ、Y拡大率を"99→101 "くらいまで移動。[反復移動30]

 

伸縮運動を入れたもの入れていないものの比較 (動画はNYDの副産物)

 

Q.なぜLive 2Dを使って作らなかったのか

表情を変えたり踊らせたりなど、複雑な動きを表現したい場合はおそらくLive 2Dで制作した方が楽ですが、今回のように単純な動きを周期的に繰り返すだけなら、Live 2Dの「メッシュ設定」や、ソフトの行き来などの手間を考えるとAviUtlの方が楽だと考えられるからです。

 

 

 

……というのは後付けで、本当はLive 2Dが全く扱えなかったから。

 

2 | 0:44~0:54(NYD2019リスペクトパート)

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NYD 2019は僕がBig Brotherの音MADを作るきっかけでもあったため、制作の初期段階からこの動画のリスペクトを考えていました。

しかしモーフ変形あたりの再現で技術的に詰んでしまったため、後半にオリジナル要素を入れるなどして無理やり回避しました。

【各オブジェクト解説】

《周る文字》

何気にこのシーンの中で最も苦戦した部分です。テキストを四角形の周上に配置し、文字の端と端をつなげて等速でシフトさせる方法がなかなか見つからず、結局適当なやり方でゴリ押してしまったような気がします。

今回は、今のところ最も簡単に作れる(当社比)線を描画」(93氏)を使った方法をご紹介します。より完成度の高い方法や楽な方法などありましたら教えてくださると嬉しいです。

図形オブジェクトを追加。テキストではないので注意。

・図形に「描画@線を描画」を適用。「アンカー数」を6に設定。

・先ほどのエフェクトのに「テキストを表示@線を描画」を追加。設定ウィンドウの「テキスト」に表示したい文字を一文字ずつカンマで区切って入力する。例えば例の文章の場合、
「B,i,g, ,B,r,o,t,h,e,r, ,i,s, ,w,a,t,c,h,i,n,g, ,y,o,u,.」となる。

・このスクリプトでは文字を繋げることができないので、アンカーポイントを下図のように配置し、「描画@線を描画」の「描画間隔」や「テキストを表示@線を描画」の「文字サイズ」を調整して上手いこと繋がっているように見せる。

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 ・最後に「描画@線を描画」の「offset」を直線移動させて完成。

 

参考記事 :

 

 1984

・テキストを「1」、「9」、「8」、「4」のように一文字ずつ個別のオブジェクトとして用意。

Y拡大率を下げ、縦に潰したような形にする。

・「FlatShadow」(Aodaruma氏)をかける。「Angle」を180°(真下に影)にし、「Length」で厚みをつける。

・「エッジ抽出」を適用。色を黒色に設定し、「強さ」で線を適当な太さにする。

 

~ここからアニメーションの設定~

 

・Y座標を”0→(任意の値)”[イージング4]に移動。

・FlatShadowの「Length」を"0→(任意の値)"[イージング4]に移動。

↑文字が浮き出る動きの設定。沈む動きはパラメータの値を逆にする。

「浮き出る」→「静止」→「沈む」→「静止」(ループ)

この動きを左の文字から時間差をつけて設定して完成。

 

《左上の波のようなもの》

・別シーンにて、円(図形)に「sinwave」を適用。この波を複数個作る。

・「高さ」や「周期」のパラメータをランダム移動(移動フレーム間隔10程度に)

・rootにシーンを呼び出し、シーンに「極座標変換」をかけて波を円形にする。

 ・シーンを一定間隔で任意の角度に回転移動させる。[イージング23]

 

《Miji》

・シーンに「ノイズ」を乗せた背景を置く。ノイズの「変化速度」を10程度に。

・rootにて、テキストに「ディスプレイスメントマップ」を適用し、マップにシーンを指定。サイズを調整し、XY変化量を適当な値に変更。「ぼかし」を大きめの値にする。

 

《英文》

とある音MAD作者からこの文章の内容について質問を頂いたこともあったのですが、これ、英語版Wikipediaから適当にコピペしただけです。すみません。Wikipediaからコピペは映像作者が適当に情報量稼ぐ時によく使う手口

とは言え、正直ここを注視する人は恐らくほとんどいないというより皆無です。そもそもほぼ見えない

よっぽど細部までこだわりたいなら別ですが、そうでないなら見えない部分はどんどん妥協しましょう。でないとキリがありません。

 

レックウザ

・素材に「ラスター」をかける。(「縦ラスター」、「ランダム振幅」にチェックを入れる)

・別シーンに素材をコピーし、「単色化」(「輝度を保持する」のチェックを外す)と「縁取り」(縁取りT(ティム氏)推奨)を適用。

・素材に「ラフエッジ」(ティム氏)と「ノイズ」をかけ、ノイズの「周期XY」を6~7くらい、「変化速度」を結構高め(200~)に変更。

・コピー元の素材の上フレームバッファを置き、「ディスプレイスメントマップ」を適用。XY変形量を適当な値にし、マップに先ほどのシーンを指定。「元のサイズに合わせる」にチェックを入れる。

 

【ガラスの割れ】

ガラスのヒビは、下のようなオーバーレイ画像素材を上下左右反転させながら重ね合わせただけです。Blenderは一切使っていません。素材は「Glass Crack Footage Free」と画像検索すれば沢山出てきます。

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また、次シーンの破片が飛び散る素材はこちら。

 

Q . Mijiが声優の名前だと知らなかったのか

これに関しては単に僕の知識不足です。大変申し訳ありません。

今考えてみれば、こんなもの調べればいくらでも出てきたのに、なぜ気が付かなかったのか不思議です。

 

3 | 0:54~1:04(路上を走るようなシーン)

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本動画では数少ないオリジナルパートの一つです。ほとんど道路とキネポの制作だけでしたのでそこまで時間はかかりませんでした。

 

【文字】

このシーンは基本Blenderを使って作成していますが、登場する文字はあらかじめAviUtlで動画として出力してから、Blender上でテクスチャとして貼り付けて表示させています。

 

「踏み鳴らし」の文字のみ、他の文字とは異なる編集をしました。具体的には以下の通り。

・Shift+Aでテキストを追加。

・プロパティの「ジオメトリ」から、「押し出し」を適用してテキストに厚みをつける。

・ヘッダーの「オブジェクト」メニューから、「変換」⇒「カーブ/メタ/サーフェス/テキストからメッシュ」で、テキストオブジェクトをメッシュに変換する。

・プロパティウィンドウからオブジェクトに「パーティクル」を適用。設定値を下記の値に変更する。

  • 【放射】
    数 : 2500~3000程度
    終了フレーム : 5~10程度 (開始フレームが「1」である場合の値。1でない場合は、開始フレームとの差分が5~10程度になるように調整する。)
  • 【ソース】
    分布 : 「ランダム
  • 【速度】
    ノーマル : 0 m/s
  • 【レンダー】
    エミッターを表示」のチェックを外す
  • 【ビューポート表示】
    エミッターを表示」のチェックを外す
  • 【フィールドの重み】
    重力 : 0.000

・Shift+Aでメッシュ(立方体)を追加。パーティクルとして使用します。

・立方体のマテリアルを「放射」に変更。強さを10程度に設定。色はお好みで

・先ほどのテキストを選択して、「プロパティウィンドウ」⇒「パーティクル」⇒「レンダー」から、「レンダリング方法」を「オブジェクト」に変更し、「インスタントオブジェクト」に立方体を指定する。

・立方体を適当な大きさに拡大縮小して、完成。

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完成予想図

 

【道路】

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シェーダーノード

アスファルトに水が溜まったようなマテリアルはこの動画を参考にし、テクスチャ素材をこちらのサイトからお借りして作りました。ありがとうございます。

 

 

【後ろのビル群】

背景にちょこっと映っているだけですのでかなり雑です。

・立方体を追加。Tabキーで編集モードに切り替え、ビルのように細長い直方体を作る。

ループカットツール(画面左側のメニューにあります)に切り替え、縦と横をこれくらいの細かさにカット。

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・移動モード(十字アイコン)に戻って面選択モード(画面左上の❒←こんなアイコン)を選択し、先ほど切り刻んだ部分から適当なマスを選択する。

・画面上側の「選択」のメニューから「ランダム選択」を選ぶ。左下に現れる設定ウィンドウでランダム選択の割合(%)を20~80%程度にする。

・マテリアルを2つ作成(一つは外壁用、もう一つは窓から見える光用)し、光用のマテリアルの設定画面で「割り当て」ボタンを押す。※マテリアルは「外壁用→光用」の順に作成する。光用のマテリアルは放射のシェーダーを使う。

4 | 1:04~1:22(キネポが登場するシーン)

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このパートを最後に制作したのですが、他に時間をかけすぎたせいで正直一番雑になってしまったと思います。時間を取ってもう少し凝ればよかったと後悔。

短時間で下の6つシーンが目まぐるしく変わっていきます。

1.「聞けよ」(AviUtl)

2.「窓辺で」(Blender+AviUtl)

3.「良き事の為と連呼する」(AviUtl)

4.「見えないブラザーが」(AviUtl)

5.「暗示のようにキミを見る」(AviUtl)

6.「踏み鳴らせ」~「思慮は今罪と知るべし」(AviUtl)

(ほとんどAviUtlでの制作ですが、2.「窓辺で」のみBlenderも使用。)

 

では、番号ごとの解説へ

 おことわり

以下、ベジエ軌道を使った移動を頻繁に使用するため、下の4つの基本的なイージングをそれぞれ

EaseIn , EaseOut , EaseInOut , EaseOutIn

と呼ぶことにします。

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【1."聞けよ"】

以下6つのシーン、ほとんどテキストを配置してカメラを動かしただけの単純な編集なのでこれといって重要な解説はありません。

 ・テキストを一文字ずつ別オブジェクトで用意し、XYZ回転や位置などを微妙にずらす。

・全てのテキストを「カメラ制御の対象」に。

・カメラを追加し、カメラ効果「手振れ」を追加。以下AviUtlでのカメラを使ったキネポには全て手振れがついています。

・カメラを移動させる。トラックバーから直接位置を調整しても構いませんが、個人的にはカメラ効果「位置補正」を重ねてかけた方が楽で、かつ移動が滑らかなような気がします。

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「位置補正」は、「補正方法」を3に設定することで、目標を追従しない水平垂直移動が可能になります。「ParallelCamera」(Aodaruma氏)を設定する必要はありません。

XYZ移動のほか、回転や傾きには以下のスクリプトを使います

XYZ移動 : 「位置補正
目標を中心にした水平垂直回転 : 「目標中心回転
カメラの傾き : 「位置補正R

※「位置補正」と「位置補正R」は、ともに「オートターゲット」(ティム氏)を導入することで使用できます。

この方法を使ったカメラ移動は他のキネポシーンにも使われています。

 

・一文字のテキストを「ランダム配置」で散りばめる。これを何個かに複製し、それぞれ任意の文字に変える。

・2つのシーンを用意する。一方にテキストを、もう一方に「ノイズ」(Type:1)をかけた背景を置く。

・背景があるシーンに「フレームバッファ」を追加し、「PixelSorter_s」を適用。基準輝度や輝度幅などを調整して下図のようなものを作る。

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PixelSorter_sの設定から、「方向」を3もしくは4(横)に設定

・テキストに「ディスプレイスメントマップ」をかけ、マップに背景のあるシーンを指定。 

※同じ編集が今後何回も出てくるため、テキストに対して行ったこの操作を以下「PixelSort Turbulent」と呼ぶことにする。

参考 :

・rootにテキストのシーンを呼び出し、「エッジ抽出」をかけて「聞けよ」の背面に配置。

・最後にシーン全体にモーションブラー(フィルタ効果)をかける。これも僕は全てのシーンで使っています。
※「方向ブラー&放射ブラー&回転ブラーで代用した方が軽い、きれい」という意見もありますが、キネポは動きが複雑でこれがかなり難しいので仕方ありません。

 

【2."窓辺で"】

Blender

・床、壁、窓を作る。床のテクスチャは前述したサイトから。

・窓の位置にエンプティを追加。カメラ→エンプティの順に複数選択して、「Ctrl+P」→「ペアレント対象」→オブジェクトでエンプティをカメラの親に設定する。

・エンプティにZ軸の回転移動[EaseOutIn]と、ノイズモディファイアー(「グラフエディター」→グラフを選択→「N」キーを押す→「モディファイアー」→「モディファイアーを追加」→「ノイズ」から適用可)を使った手振れをつける。

※この方法は、Blender2.9以前のEeveeではカメラにモーションブラーが適用されないのでご注意ください。(エンプティを使ってカメラを動かしているため)

 

《AviUtl》

Blenderで作成した映像を挿入。「フレームバッファ」を下のレイヤーに追加し、「粒状化」をかける。強さ、フレームバッファの透明度などを調整。

・テキストを追加(文字毎に個別オブジェクト☑)し、「TA字間」(さつき氏)を適用。「X字間」を大→小[EaseOutIn]へ移動。

・別シーンで図形(四角形)を追加。サイズを500、縦横比を99.0に変更し、「クリッピング」をかける。

クリッピングの「下」の値を"(四角形が全て隠れる値)→0"[EaseIn]へ移動。

・オブジェクトを複製して元オブジェクトの直後に並べ、クリッピングの「下」の値を0[移動なし]、「上」の値を"0→(四角形が全て隠れる値)"[EaseIn]へ変更。

・rootにシーンを呼び出し、45°回転させて横に並べる。このとき、タイムラインでの位置を少しずらして動きに時間差をつける。

 

【3~5."良き事の為と連呼する"~"暗示のようにキミを見る"】

このあたりは全て1と同じように文字を配置してカメラを動かしただけですので特に説明はありません。

 

【6."踏み鳴らせ~思慮は今罪と知るべし"】

・アナログテレビの3Dデータ(.objファイル)を用意。

・シーンで、適当な図形に「OBJ Reader」(93氏)をかけて3Dデータを読み込み、「@描画」で描画。

フレームバッファ2つ追加し、一つに「粒状化」(ティム氏)、もう一つに「エッジ抽出」を適用。

グランジのオーバーレイ素材を合成。ライトリーク素材も乗せてますがそこはお好みで。

・四角形の縦横比やライン幅を変えて線の枠を作る。これ結構好きです。

 

ちなみにこのパート以後で映る歌詞「"君"を見る」は、正しくは「"キミ"を見る」らしいですね。お詫びして訂正します。俄ですみません

 

《余談》(お急ぎの方はこちらへ)

このキネポのパート、言うまでもありませんが映像界隈の映像(特に#utlの遊び人タグの作品)を参考にしています。このようなものを取り入れた理由ですが、1つは僕のいつかやってみたい表現の一つであったから、もう1つはキネポが当時の音MAD界隈でまだあまり使われていない表現であり、それを取り入れた音MADは斬新ではないかと考えたからです。

しかし、当時の僕は、3DCGに比べて比較的難易度の低いキネポがなぜ音MADの映像にあまり使われていないのかを深く考えたことはありませんでした。

 

この理由については、今の僕の見解ですが、「音MADの映像において最も強調すべき素材(キャラ)とキネポを同時に映すことが非常に難しいから」ではないでしょうか。

 

シェイプモーションなど、文字以外のモーショングラフィックスであれば装飾程度に組み込むことは簡単なのですが、キネポには「文字を読ませる」必要性が常に存在しているため、素材と同様に視聴者の注意を引く存在でなければなりません。

 

本来、キネポが使われている映像(主に文字PV)は「文字」がメインであり、視聴者は文字にのみ注意を引かれています。そのためそれらを素早く動かしても十分目で追うことができるため問題はありませんでした。

(また文字PVは歌詞をすでに知っている前提で作られていることが多いため、文字を読ませる重要性がそこまで高くない。)

 

しかし、文字以外に強調したいものが存在すると状況は変わります。

 

「文字」と「他に見せたいもの」を同じくらい強調した場合、視聴者はどちらを優先して見ていいか分からず、結果的に「ごちゃごちゃしている」という印象を与えてしまいかねません。ごちゃごちゃが一概に悪いとも言えません。なお、「情報量が多い」≠「ごちゃごちゃ」なので注意。

 

反対に、

「見せたいもの」をより強調すると、それに注意を引かれている視聴者は素早く動く文字を視認することができず、

「文字」を強調すると、素材が映えず、音MADの映像としては残念な仕上がりになってしまいます。

 

このように、キネポと音MADの映像とは非常に相性が悪く、レイアウトに相当気を配って工夫するか、文字を読ませること自体を諦めるくらいしか方法はないでしょう。

後者の場合も、すでに知られている歌詞や有名なセリフなどのキネポであればそこまで問題はありませんが、独自に改変した歌詞など、視聴者が初めて目にするであろう言葉で使うのはできれば避けたいところです。

(僕はあまり見たことがありませんが、静止画MAD界隈の方々ならそういった表現について詳しそうですね。)

※偉そうに語ってますが、所詮は音MAD、映像ともに超初心者の分際ですので参考にしない程度に見ていただければ幸いです。

 

では僕のキネポパートは文字とキャラの両立ができているのかと言うと、全くできていません。そのため音MADの映像としては最悪のパターンです。(先ほどの3つ目の例「文字の強調のしすぎ」にあたる)

文字を少し強調しすぎてしまったくらいならまだいいのですが、僕の場合は路上のシーンから灰マテ先生リスペクトパート手前までキャラが1秒も映っていません。これはマズい

音MADの主役であるはずの素材を全く映さずに、文字だの図形だのをヒョイヒョイ動かしたところで、それはただの映像作品。音MAD作品として評価するなら0点でしょう。

 

Big Brother投稿後、Twitterとbilibiliのコメント欄で似たような内容の発言を見つけたので紹介させていただきます。

 《Twitter

素材を生かさずに技術のみで映像を作ると「映像作品」としての面白さしかなく「音MAD」としての面白さは失われてしまう

某音MAD作者様のツイートより 一部改変

(自意識過剰なせいでこのツイートは僕の動画に向けて言ったものなんじゃないかとずっと思っている)

 

《bilibiliのコメント欄》

 ・中间有一段太执着于文字表达了,素材都没有了……

訳)真ん中あたり(=キネポシーン等)に文字にこだわりすぎて素材がなくなっているパートがある……

 

・本作仅文字表达和一些MG动画都占了视频的1/3,虽然挺有创新挺有想法的,但总不能连最基本的素材都给舍弃了吧,这样跟去看一些原创的PV小动画有什么分别www

訳)この作品、キネポとモーショングラフィックスが動画の1/3を占めてるのはすごく革新的で独創的だけど、肝心の素材を捨てちゃダメだろ。そこらのオリジナルPV動画見るのと何が違うんだよwww

 

・有种把各种特效模板拼凑在一起的感觉,每段的风格都不一样,虽然PV技术力确实很强,但是感觉还是差点意思

訳)テンプレを並べた感があって、パートごとの雰囲気もバラバラ。確かにPVは技術的には強いんだけども、あんまり意味がない。

bilibiliの転載動画でのコメントより

(勝手に晒してすみません)

今では全くその通りだとしか思えないのですが、当時の僕は「すごい技術を使う」ことばかりに囚われていたせいか、音MADの映像にキネポやモーショングラフィックス、3DCGを用いることに何の抵抗も感じませんでした。

これらの映像表現を用いること自体は何も悪くないのですが、「音MADにおいて最も重要なのはあくまで素材である」ということを常に意識し、過度な使用を避けて適度に装飾として使うのが望ましいのかなと思います。

 

5 | 1:22~1:37(灰色マテリアル先生リスペクト&Blenderパート)

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前半は灰色マテリアル氏作「色々な素材でBig Brother」の1:22部分のリスペクト、後半はリスペクト+キネポ+Blenderのアレンジで構成されています。

 

【キミを追う(AviUtl)】

・文字に前述したPixelSort Turbulentを適用。

・背景は、下のような目玉のフリー素材を、色を変えたりグランジのオーバーレイ素材を合成したりして作っています。これは後述する「Big Brother 田ミ.exeリスペクトパート」でも使っています。

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・カメラ(手振れ付き)をZ軸方向に移動[EaseOut]させて、コマ落ち(4)をかける。

 

【ヤイヤイと人人(Blender)】

・路上シーンの文字と同様に、画面のテキストはAviUtlであらかじめ作成したものをPlaneに動画テクスチャとして貼り付けているが、アナログテレビの画面に合わせてPlaneを少し湾曲させている。
(編集モードで右クリック→細分化[5x5]→Planeの中心の頂点を選択→Oキー又は画面右上の◉マーククリックでプロポーショナル編集有効化→マーク横のオプションから、「スムーズ」を「球状」に変更→適用範囲をPlaneの大きさ程度に調整して、頂点を垂直方向に移動→画面左上の「オブジェクト」から「スムーズシェード」をクリック)

・アナログテレビ内の画面は、カスタムオブジェクト「ノイズ@hksy」に文字を乗せ、フレームバッファでシャープやY軸のみの振動を加えてコマ落ち(2)をかけている。

・ドア、アナログテレビ、ランプはフリーの3Dモデルです。(ごめんなさい)

・「1984」の文字は、テキストをなぞったパスに「ベベル」をかけて適当な太さにし、プリンシプルBSDF放射をミックスさせたマテリアルをつけてネオンサイン風の見た目にしています。(結構時間かかったんですが、遠くから見るとその苦労があまり分からない…)

・横向きのスポットライトを路上でリニア移動させることで、車のヘッドライトみたいなものを再現。

・前景の電柱を使ってシーンチェンジ。(電柱の右側に黄緑色のPlaneを置いて後からクロマキーで透過しただけ)

 

【人の目がキミを見る(Blender)】

・地面は路上のシーンのものと同じマテリアルを使用。

・壁のテクスチャ画像はたしかこれ

・配管やゴミなどの小物を配置しながら、中央に割れた画面を置いている。(この謎構成実はBig Brother用に作ったものではないのですが、説明が長くなるので詳細は割愛。)

・画面にはスポットライトが2つ設置されています。(「キーライト」と「フィルライト」。)

ライティングの参考動画 :

・例によってAviUtl製のキネポをPlaneに貼り付けている。

・ガラスの割れは「Cell Fracture」(公式アドオン)を使用。

・「2+2=5」は路地裏に描かれていそうなスプレーの落書き風。

《画面のキネポ》

・「人」:

  • PixelSortTurbulent」+「時間制御(コマ落ち[3])」

・「の」:

  •  「斜めクリッピング」を使って縦長の平行四辺形状にカットした背景を2つ横に並べ、1フレームだけ表示。
  • キネポシーンの「窓辺で」の場面で使ったクリッピング四角形を時間差で配置。

・「目」:

  • 1フレームだけフレームバッファを使って画面全体の輝度を反転(「基本効果」→「反転」)。
  • 文字の後ろにShockWaveというオーバーレイ素材(名前の通り衝撃波のようなもの。)を配置している。

・「が」:

  • 「オブジェクト分割」で文字を横方向にスライスし、「Delay個別[DelayDraw]」(93氏)で時間差をつけて登場させる。(「random」の値をいじると登場順がバラバラになります。)

・「君を」:

  • 点滅して登場」を使って登場。輪郭線のみのテキストを下に置いている。

・「見ル」:

  •  「見」を上下に分割し、下部分をスライドさせることで「目」と「見」と「る(ル)」をそれぞれ表現している。

 

6 | 1:37~1:47(big brother:RE◆リスペクトパート)

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さしゃまる氏作の「big brother:RE◆」をリスペクトしたつもりですが、若干オリジナルの要素が強くなってしまったみたいです。

キャラをサイドに並べ、中央ではシャミ子が菱形の枠から顔を出しています。

ちなみにリスペクト元にはないこの菱形の枠は、腰から上までしか用意していなかったシャミ子のアニメーション素材の端っこを上手いこと隠すために必要だっただけですので深い意味はありません。(やたらとリスペクトされまくってるけど)

 

7 | 1:47~2:08(Big Brother 田ミ.exeリスペクトパート)

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田ミの雰囲気をリスペクトしつつ、背景から開く目や、画面上下の建築物などのオリジナル要素を混ぜ込んで作りました。

 

素材に日向夏帆(ブレンド・S)を用いたのは、単純にポーズがUDK(本家)に酷似していたからです。似過ぎ

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完全に一致

【背景の目】

・背景画像に「スプリット」(ティム氏)。下のレイヤーに前述した目玉素材を配置。

・目が開くアニメーションだけコマ落ち(3)の時間制御をかける。

 

【質感】

VHS風でなければフィルム風でもない変な質感です。

フレームバッファに「色収差」(ティム氏)をかける。

・別のフレームバッファに「粒状化」(ティム氏)をかけ、強さやフレームバッファの透明度を調整。

・たまに「pixelsoter_s」でノイズを入れる。

 

【画面のブレ】

VHS風とフィルム風のどちらを表現したかったのかは分かりませんが画面にかすかなブレがかかっています。しかし、「振動」エフェクトは使用しておりません。

「振動」は、「周期」を2くらいにすることでブレのようなものを作れますが、このブレが個人的には少し滑らかすぎる気がするのです。

時間制御でコマ落ち(2)をかけるとそれっぽくなりますが、ブレだけでなくすべての動きがカクカクになってしまうため少ししつこく見えます。

本来のフィルム感を出したいならこれで良いのかもしれませんが、今回はブレだけがカクカクの「なんちゃってフィルム表現」をやりたいので別の方法を使います。

 

フレームバッファのXY座標のトラックバーにランダム移動を指定し、XY座標の始点と終点の値を調整します。ほとんどY座標の振動ですが、X座標も微妙に振動していた方が良いです。

 

アニメーション効果「カクカクさん」(さつき氏)をかけ、値を"コマ落ちの値/フレームレート"にすると振動がカクカクになります。ただしこのスクリプトは秒数指定のコマ落ちなので、代わりにスクリプト制御で以下の文を入力することで、フレーム単位でのコマ落ちができます。

local F=math.floor(obj.frame/2)*2
obj.ox=obj.getvalue("x",F/obj.framerate)-obj.x
obj.oy=obj.getvalue("y",F/obj.framerate)-obj.y

赤字はコマ落ちの値を表しています。必要に応じて書き換えてください。

 

【画面内の建造物の意味】

これについて、考察をしてくださっていた方々には大変申し上げにくいのですが、意味なんてものは全くありません。全てそれっぽく置いてみただけです。大変申し訳ございません。

時計台、斜塔、鳥居、石膏、ほとんど映像作者がよく使っているアレです。

音MAD作者が左右反転を多用するのと同じだと思ってください。

時計台、斜塔、鳥居、石膏、大仏、石像、+文字、波線、花、月、東京タワー←こういうものすぐ並べがちPixelSortさせがち

一応、建造物は登場順に西から東の国のものへと変化していたりします(不自然にタージマハルが入っているのはそのため)。だから何だという話ですが。

 

8 | 2:08~3:22(にすペクトパート2回目)

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 色調や歌詞字幕、画面の質感などをいろいろ弄ったので1回目のにすペクトパートとは雰囲気がガラッと変わっています。

【色調】

 ・単色オーバーレイの色を青紫から赤紫へ。

・MGグラデーションマップの使用テンプレートを変更。

 

【歌詞キネポ】

《無常明日の日は》

TA-normal(93氏)を使ってテキストを時間差で右下から登場。コマ落ち3の時間制御をかける。

フォント : コーポレート・ロゴ B

 

《君の為には非ずと》

・テキストに「PixelSort Turbulent」を適用し、XY変形量を"(任意の値)→0"[EaseOut]へ移動。

・フィルタを3つに複製し、うち2つのディスプレイスメントマップの「変形方法」をそれぞれ回転変形拡大変形に変更する。

フォント : 源ノ明朝 極太

 

《すみずみに地を覆い》

・一文字ずつ個別のオブジェクトで座標移動。

フォント : チェックポイントフォント 標準

 

《逃亡の夢も砕く》

・「逃亡」: 「引き伸ばし」(さつき氏)

・「の・も」: 座標移動。

・「夢」: やり方忘れました。試行錯誤すれば作れると思います。

・「砕く」: 砕け散るT(ティム氏)を使って砕く。値6でコマ落とし。

フォント : 

「逃亡」···コーポレート・ロゴ B

「の・も」···せのびゴシック 太字

「夢」···叛逆明朝

「砕く」···源ノ明朝 極太

 

《聞けよ目の前で》

 キネポシーンのように文字を配置してカメラを動かした動画を用意し枠内に合成。

フォント : 源ノ明朝 極太

 

《良き事の為と囁く》

こちらも個別オブジェクトで座標移動。移動時に「方向ブラー」をかけている。

フォント : 源ノ明朝 極太

 

《見えないブラザーが》

・「TA字間XY」(さつき氏)で字間Xを"(大)→100"[EaseOut]に移動させて登場。X座標もEaseOutで。

・テキストを複製し、片方に「縁取りT」(ティム氏)もしくは「エッジ抽出」をかける。縁取りTの場合は「合成量」を-100に。

・もう片方のテキストに「斜めクリッピング」をかけてなんやかんやする。

フォント : コーポレート・ロゴ B

 

《暗示の様にキミを見る》

PixelSort Turbulent(PixelSortの方向は13、ディスプレイスメントマップはY変形量を"(任意)→0"[ベジエEaseOut])。

フォント : 源ノ明朝 極太

 

【画面】

 《VHSもどき》

・別シーンにて、ノイズをかけた背景を追加。X周期を0、Y周期を1.0に設定。

・「速度Y」を変化させてノイズをY軸方向に直線移動させる。

・rootでフレームバッファを追加して「ディスプレイスメントマップ」。マップにシーンを指定し、変形量Xを調整。

 

《画面の割れ》

・こんな素材を用意。(僕の場合は透過pngですが、黒背景でも加算・スクリーン合成などすれば問題ないと思います。)

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 ・ペイントソフトの塗りつぶし機能などで下のような穴のみの画像を作成する。(これは透過pngで)

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 ・穴の中に映したい素材を穴の画像があるレイヤーの下に配置し、「上のオブジェクトでクリッピング」にチェックを入れる。レイヤーの構造は、上から

背景
割れ素材
穴素材
穴の中に映したい素材

という感じ。

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【"列に立て"~"思慮は今罪と知るべし"】

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フレームバッファを追加。

・「単色化」をかけ、R=98,G=119,B=111くらいの色を設定する。(←こんな色)

・「メディアンブラー」(opencv)とシャープを適用。シャープの強さ、範囲は大きめで。

グランジやVHSノイズのオーバーレイ素材を合成して完成。

このパートを含め、本動画ではほぼ全ての場面でディスプレイスメントマップが使われています。「ディスプレイスメントマップを制する者はAviUtlを制す」とも言うくらいなので(言わない)使いこなせると表現の幅が一気に広がると思います。

 

4.おまけ : 人力についての解説

作業量自体はそこまで多くありませんでしたが、音素を集める作業が非常に面倒で退屈だったため、Big Brotherの中ではダントツでつらい編集でした。(完成したのも人力が最後)

使用ソフト

REAPER

音素の連結に使用。フェードイン/アウト機能のおかげて音をシームレスに繋げられる。

 

VocalShifter

音の伸縮やピッチ変更がきれいに行えるソフト。

 

音きりす

音声から音の高さ、左右、奥行きを指定して雑音を除去できるソフト。

 

手順

基本的な流れは、

音声素材から音素を集める

音素を十分な長さに伸ばす

歌詞に合わせて連結させる

ピッチを整える

の4ステップです。

 今回ご紹介するのはあくまで僕が実際に使った人力の方法ですので、他にも色々なやり方が存在します。(REAPERを使わずVocalShifterのみで完結させたり、歌声合成ソフト「UTAU」を使用したりなど)

この方法はその中でも結構面倒くさい方なので(ただしその分きれいに作れる気がする)、より手間をかけずに仕上げたい方はytpmv.infoの記事を参考にすることをお勧めします。

 

1 | 音素を集める

当たり前ですが、まず初めにキャラを歌わせられるだけの量の音素を音声素材のセリフやキャラソンから集めてくる必要があります。

キャラソンの場合はOn Vocal素材Off Vocal素材の差分(位相を反転して合成)からVocal素材を抽出してください。

アニメ素材などは、できればBGMのないセリフから音素を集めるのが望ましいのですが、BGMが重なっている部分からしか見つからなければ「音きりす」をつかってBGMを除去します。

 

また、ある特定の発音の素材がどうしても見つからない場合は、子音が同じ別の音母音が同じ別の音同士をREAPERで繋げたり、2つの子音を重ねたりすることで対処できます。
例)「」の音素と「」の音素を繋ぎ合わせて「ちゃ」の音素を作るなど

 

この段階でどれだけ良質な素材を集めたかで人力のクオリティがほぼ決まってくるので、決して面倒くさがることのないように。(僕はここで妥協したせいでクソ人力になってしまった)

 

2 | 全ての音素を適当な長さに伸ばす

次に、先ほど集めた音素をVocalShifterを用いて全て十分な長さまで伸ばします。(あまり伸ばしすぎると素材の味がなくなってしまうのでほどほどに)

このとき、伸ばすのは音素全体ではなく母音のみであるため注意が必要です。(母音のみの音素であれば問題ありません。)

 

編集ウィンドウ上で編集モード「TIME」を選択し、子音と母音の間の位置で「再生位置に制御点追加」をクリックすることで母音のみの伸縮が可能になります。

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音素を伸ばしたら、編集モードを「PIT」に切り替え、ピッチを基準の音程に統一します。基準はどこでもいいですが、できれば原音の音程に近い方が良いです。

編集画面上部分の階段状のマークをクリックすると半音単位でピッチが描画できます。

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階段マークをクリックし、ペンツールを選択して描画

ここまででこんな音声が作れていれば大丈夫です。

 

3 | 伸ばした音素を連結させる

音素を全て伸ばし終わったら、歌わせる歌詞に合わせてREAPER内で繋げていきます。

VocalShiferでできないこともないのですが、REAPERは音声同士を連結させたときにフェードイン/アウトの設定を自動で行ってくれるので個人的にはこちらの方が扱いやすいです。(単純に僕が使い慣れているのもありますが)

 

基本的には音の端と端がわずかに被るくらいの連結が望ましいです。(被っていないと音の切れ目が目立ってしまい、被りすぎていると何と言っているのか分かりにくくなる)

 

ただし、母音や「」の音素の場合は、下の図のように大きく被せた方がよりなめらかな発音になります。

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 完成したら、WAV形式16bit以下で音声を出力しましょう。(無料版「VocalShifter LE」はこれ以外の形式を読み込むことができない。有料版なら問題ないです。)

(音程が一部統一されてないのは気にしないでください)

4 | ピッチを整える

最後に、VocalShifterを使って連結した音声にメロディを加えます。

ここでは、ピッチを「合わせる」のではなく、「描く」という作業を行います。

まずは半音単位で大まかにメロディの音程を描きます。

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この時点ではピッチの線がカクカクなので、歌わせるとまだ機械っぽさが残っており不自然です。

ここから音程の境目を滑らかにしたり、ビブラートを加えたりして「人間っぽさ」を表現していきます。

 

階段マークを再度クリックしてチェックを外すと滑らかな線が描画できます。

この状態で、まずはカクカクしている線の角を丸くしてあげましょう。これだけでもだいぶ音が滑らかになります。

しかし、あまり丸くしすぎるとなんとなくやる気のないようなふにゃふにゃした声になってしまうので気をつけましょう。(わざとそれを表現したいなら別)

 

次に、音程の変わり始めを半音、または前の音程まで下げたり(しゃくり)、長音にビブラートを加えたりします。(選択ツール→長音を選択して右クリック→「ビブラート付加」)

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全ての音に適用するとしつこくなってしまうので適度な量にしましょう。

 

しゃくりやビブラートのほか様々な歌唱テクニックの表現は以下の動画が参考になります。

[主旋律+和音]

[ミックス後]

音声は「我慢の3連休合作」のダダダダ天使パートに提出したもの

これで人力は完成です。曲にミックスする際は音量を調節したりコンプレッサーをかけたりして、原曲を覆いすぎず、原曲に埋もれすぎないようにしましょう。(僕は失敗しました)

 

5.最後に

いかがだったでしょうか。この記事を読めば同じ作品が作れるというくらいに丁寧に解説をしたつもりですが、まだ何かご不明な点、質問などがありましたら、この記事のコメントや僕のTwitter(@mimaraka,@m_b3d)のDMでお気軽にお尋ねください。

文章が稚拙、説明が冗長でとても読みにくい記事だったかもしれませんが、何か少しでもお役に立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

*1:音MAD作者「にす」氏の作品をリスペクトした動画につけられるタグ。ytpmvのリスペクト動画を指すことが多い。にスペクト

*2:キネティック・タイポグラフィーの略称。キネティックタイポグラフィーとは、モーショングラフィックスにおける、文字によって作られるアニメーションを指す専門用語。